【解決事例】 自己破産により、借金200万円の免除を受けた主婦の事例
【相談内容】
Aさんは、40歳手前の女性でした。Aさんには会社員のご主人と高校生の息子さんが1人いました。
家族3人で、ご主人の名義で取得したマンションに住んでおり、35年の住宅ローンを支払っています。
Aさんは、ご主人から家計を任されていましたが、一時、子どもの学費や、友人に勧められて通ったエステのローンの支払いのため、家計が苦しい時期が続いていました。
ご主人に相談しても、十分な生活費を渡しているはずだと言われましたし、ご主人もボーナスをカットされるなど、収入に余裕はありませんでした。
そのため、Aさんはご主人に内緒でクレジットカードを頻繁に使い、キャッシングなども行うようになりました。
最初は少額の利用でしたが、だんだん利用額が増え、利息の負担も大きくなっていき、ついに借金は200万円に達してしまいました。
しかも、どのカードも限度額まで使用してしまい、これ以上の借入れはできなくなってしまいました。
そこで、ご主人に知られないままなんとか解決できないかと思い、当事務所に相談に来ました。
【解決方法】
Aさんの生活状況からは、200万円の借金を返済することは不可能と思われました。ご主人の収入状況をみても、お子さんの学費の関係もあり、ご主人に協力してもらっても返済することは難しい状況でした。
そこで、Aさんと協議の結果、破産手続きによって債務の免除をしてもらうという方針に決まりました。
破産手続きを行うには、保有する財産の状態と、現在の生活状況を裁判所に説明しなければなりません。
Aさん自身には特にこれといった財産はなく、預貯金や生命保険もほとんどありませんでした。
ローンで購入したマンションはありますが、これはご主人の名義ということですので、Aさん自身の財産には当たりません。ですので、Aさんが破産手続きを行っても、このマンションを手放す必要はありません。
ただ、Aさんはご主人の収入で生活していますので、Aさんの生活状況を説明するためには、ご主人の財産状況や収入の状況を説明する必要があります。
Aさんはご主人には借金や破産のことは話していないとのことで、その点が最大の問題となりました。
Aさんの場合、債務が膨らんだのは生活費不足などによるもので、家族全体の問題であり、ご主人にも無関係ではありません。また、今後の家計のことも考えると、ご主人にも事情をよく把握してもらった方が良いのではないかと弁護士は考えました。
Aさんにもそれを伝えましたが、Aさんは、ご主人との関係などから、どうしても知られるわけにはいかないということで、ご主人に伝えるくらいなら破産もあきらめるという覚悟を持っていました。
そこで、弁護士もAさんの意思を尊重し、ご主人に知らせないまま、破産手続きを行うことにしました。
ただ、それでもご主人の財産や収入に関する資料が必要になりますので、その収集はAさんにお願いし、裁判所にはそのあたりの事情を説明して理解を求めることとしました。
半年程度で準備が整い、札幌地方裁判所にAさんの破産申し立てを行いました。
裁判所からは、何点か質問などもありましたが、大きな問題はなく、破産手続きは申し立てから数か月後に終了し、Aさんの債務はすべて免除されました。
【コメント】
破産手続きを行う際には、本当に支払いができないのか、というチェックが行われます。
そのため、現在保有する財産や、家計の収支状況を詳しく説明する必要があります。
その際、財産や収支状況というのは、破産をする人だけでなく、同居の家族全体をチェックするのが基本となります。ですので、同居の家族の預金通帳や給与明細などの資料が要求されるのです。
そのため、破産を行う場合には、家族に理解や協力を得ることが必要です。
しかし、さまざまな事情により、家族には借金や破産のことをどうしても話せない、という方もいるでしょう。そのような場合、家族の収入や財産に関する資料を集めることができれば、家族に知らせないままで、手続きを進めることも一応認められています。
Aさんの場合も、最後までご主人に知られることなく、無事に破産手続きを終えることができました。
なお、少し紛らわしいですが、家族の資料を提出する場合であっても、破産の効果や影響は、申し立てをした本人にしか及びません。家族の資料は、あくまでも本人の破産を認めるかの判断材料として使うだけですので、家族も一緒に破産するとか、家族の財産が取り上げられる、ということはありません。
Aさんの場合も、ご主人の名義となっているマンションには何も影響がないまま、破産が認められています。
破産手続きには複雑なルールやノウハウが必要となります。破産問題、借金問題でお悩みの方は、当事務所までお早めにご相談ください。札幌市だけでなく、北海道内各地からのご相談に対応いたします。
※事件の特定を避けるため、複数の事案を組み合わせたり、細部を変更するなどしていますが、可能な限り実例をベースにしています。
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