残業代を請求されたら、すぐ弁護士へ相談を
従業員から、残業代を請求されても無視していませんか?どうせ何もできないと考えていませんか?
残業代の請求をされたら、すぐに対応しなければ手遅れになります。必ず弁護士に相談する必要があります。
ここ数年、残業代に関する相談・依頼が急増しています。しかし、残念ながら、経営者は残業代請求を甘く考えており、不適切な対応に終わることが非常に多いと感じます。
「残業代なんて払っていたら倒産してしまう」
「残業なんて当たり前」
「どうせ口だけで何もできないだろう」
こんなことを考えていませんか?こう考えて、大変なことになってしまう例があとを絶ちません。
ここには、大きな勘違い・思い込みが潜んでいます。
端的に述べますと、
残業代を請求してきた従業員は、裁判などの法的手続きをすぐ行います。
そして、裁判所は残業代の支払いを命じます。
経営者・会社は、その時点で初めて、大変なことになったと気付くのです。
なぜこのようなことが起きるのでしょうか。実は、現在では残業代請求のリスクが高まっているのに、経営者・会社はそれを知らないのです。
リスクが高まった原因は、①「残業代請求の広まり」、②「情報の入手しやすさ」、③「弁護士・裁判の利用しやすさ」の3点にあります。
①残業代請求の広まり、ですが、最近は労働者の間で、残業代に対する権利意識や知識が広まっています。
新聞やインターネットでも頻繁に目にしますし、労働者間の情報も広まりやすいでしょう。
弁護士の広告・チラシを見かけることも多くなっています。
ですので、残業が生じており、特に会社に対して不満があるような場合は、それを請求される可能性が高まっています。
②情報の入手しやすさ、ですが、今は本屋に行けば残業代請求の仕方を説明した素人向けの本が並んでいます。
また、インターネットでは、残業代請求の方法を解説しているだけでなく、裁判所に出す書類の見本や実践例が豊富に見つかります。
ですので、残業代を請求したいと思えば、すぐに裁判所に行ったり、弁護士に相談できます。そのため、請求のハードルが非常に低いのです。
③弁護士・裁判所の利用しやすさ、ですが、ここ数年で、一気に以下のような変化が生じています。
ひとつは、残業代請求を宣伝する弁護士、法律事務所が増えていることです。そのため、インターネットなどで検索すれば、残業代請求をしてくれる弁護士はすぐ見つかります。
また、弁護士費用についても低価格化が進んでおり、着手金無料で受任する弁護士もあらわれています。弁護士からすれば、一定の状況が整えば残業代請求は認められやすいので、あとから成功報酬をもらえば割りにあうのです。
もうひとつは、裁判所でも「労働審判」という制度が普及しており、3回以内という短期間で裁判所が判断を示すことができるようになっています。
これまでは弁護士に依頼するお金はなく、裁判は時間もかかるため躊躇していた従業員が、お金がなくても弁護士に依頼でき、短期間に裁判で解決できるようになっているのです。
このような状況から、現在では、一度残業代を請求してきた従業員は、会社がそれを拒絶すると、すぐ弁護士に相談するか、裁判などの法的手続きを行います。
会社は、それから事態に気付いてあわてて対応しますが、すでに傷口が広がっていることが多いのです。
そのため、従業員から残業代の請求があったときは、「必ず訴えられる。訴えられたら負けてしまう」という危機感を持って、すぐに弁護士に相談し、対応を練る必要があります。
相手の請求が認められないようなものであれば拒絶していくこともあるでしょうが、法律上、労働者の権利は手厚く保護されており、ほとんどの企業ではやられるがままになってしまいます。裁判で勝てる企業はほとんどありません。
ですので、そのような場合には、少しでも損失を最小限に抑えて早期に解決する必要があります。
そして、その経験をもとに、今後の残業代の抑制を図っていく必要があります。
「残業代なんて払ったら倒産するしかない」と思う方も多いでしょうが、法律や裁判では、そのような事情は一切考慮されません。
残業代が生じるかどうかは、法律に従ってドライに判断されます。経営状態や、これまで従業員をいかに思いやってきたかということは考慮してもらえません。
弁護士として関与した経験のなかでは、裁判で請求される金額は1人あたり200~300万円になることが多く、その大半の請求が認められてしまいます。
従業員が数人で請求してくると、1000万円に達する事案もめずらしくありません。
ですので、裁判が起こされる前、従業員が弁護士に依頼する前に解決することが重要となってきます。
繰り返しになりますが、残業代請求を甘く見ることはできません。
一度でも従業員から残業代を請求されたら、すぐに弁護士に相談する必要があります。
当弁護士事務所では、残業代請求をはじめとする労働事件も数多く扱っています。
随時、残業代に関する法律相談を行っていますので、残業代請求されている場合、いますぐにご相談ください。
従業員からの請求に対する対応のほか、今後の就業規則見直しなどの対策についてもアドバイスできます。
弁護士へのご相談の予約については、法律相談のご予約・お問い合わせのページをご覧ください。
武富士との裁判で、最高裁判所で逆転勝訴の決定を得ました
当事務所では、個人・企業の債務整理、倒産案件などを多く手がけていますが、今回、武富士の会社更生手続きに関して、最高裁判所で逆転勝訴の決定を得ましたので、ご報告いたします。
この事件は、もともとは武富士に対する過払金請求の裁判から始まりました。札幌地方裁判所小樽支部で過払金約900万円の支払いを命じる全面勝訴判決を得て、武富士から控訴された後も、札幌高等裁判所でも当方の請求を全て認める判決が出されました。
ところが、実際に過払金を回収するまえに、武富士が倒産(会社更生)をしてしまいました。
武富士が倒産してしまった以上、過払金を請求できる権利があっても、その3.3%(第1回配当)しか受け取れず、大部分の回収は不能となりました。
ところが、この案件では、武富士が一審判決に対して控訴した際に、当方が強制執行を行えないように裁判所の許可を得て、700万円の「担保」を法務局に供託していました。
その後、武富士が会社更生をしてしまったため、この700万円の担保金がどうなってしまうのかが問題となりました。
これについて、武富士の管財人は、この担保金は武富士のものであるとして札幌地方裁判所小樽支部に担保の取り戻しを求める裁判を起こしました。
裁判所は、武富士側の言い分を認め、会社更生によって当方の権利は失われたため、担保も武富士のものであると判断してしまいました。
そこで、当方から即時抗告(異議申立)を行いましたが、札幌高等裁判所も武富士側の言い分を認めてしまいました。
一審、二審とも当方が敗訴した形となりますが、ここで問題となったのは、「会社更生手続きをされてしまうと、供託された担保についても権利が失われてしまうのか」というものです。
通常の過払金の請求権は、会社更生により大部分が請求できなくなることは法律上当然とされていますが、今回のようにわざわざ当方のために担保が供託されている場合にも、それが無意味なものとされてしまうのかが問題となったのです。
実は、この点に対する判断がなされた裁判は、当事務所で調べた限りでは、これまで一例もありませんでした。破産手続きや民事再生手続きの場合の裁判例はいくつかありましたが、会社更生の場合にどうなるかというのは未知の問題であり、文献でもほとんど触れられていませんでした。
しかし、いろいろと検討した結果、やはり武富士側の言い分や裁判所の判断はおかしいと考えましたので、依頼者の了承を得たうえで、最高裁判所に許可抗告(異議申立)を行いました。
許可抗告の申し立てから約1年間判断を待っていましたが、4月26日に、最高裁判所は、一審、二審の判断を覆し、当方の言い分を全面的に認める決定を行いました。
裁判所のウェブサイトでも、早速その決定書が掲載されています(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20130430153142.pdf)。
内容は非常に難しいものですが、当方の主張を全面的に認める形で、最高裁としての初判断がなされています。
この件についてはまだ全て終了したわけではありませんが、裁判所のウェブサイトでも上記の決定が掲載されましたので、これを機にご報告致しました。