【解決事例】 個人再生で450万円の債務が100万円に減額された事例
【相談内容】
田中さん(仮名)は、47歳の男性で札幌市内にある建設関係の会社に勤めていました。
しかし、一時、病気のため休職したり、同時期に母親が亡くなり、その葬儀代などで資金が足りなくなり、持っていたクレジットカードのキャッシングを利用し始めました。
その後、返済を継続していましたが、臨時の出費が相次ぎ、少しずつ借入金額を増やさざるを得ませんでした。その時点での負債は200万円程度となり、毎月の返済額も5万円を超えていました。
ただ、田中さんは復職し、なんとか返済を続けていましたが、あるとき、会社の業績不振で少し収入が下げられてしまいました。
そのため、返済資金が足りず、毎月、返済のために借り入れを繰り返す状況になってしまいました。
だんだんと利息の負担も増えていき、気が付けば借金も400万円を超えました。
そのころに会社も持ち直し、収入ももとの水準に戻りましたが、負債は450万円となり、毎月の返済額も約10万円に及んでいます。
しかも、毎月返済額10万円のうち、利息の返済が約4万円にもなっており、いくら返しても元本がなかなか減っていきません。
そこで、田中さんはこれ以上の返済は難しいと思い、少しでも返済の負担を減らせないかと思い、弁護士に相談したのです。
【解決方法】
田中さんの負債は450万円となっており、多額にのぼっています。
解決の方法として、任意整理、個人再生、破産という3つの方法が考えられましたが、負債額が大きく、任意整理での解決は少し難しい状況でした。
他方、田中さんには一定の収入があり、毎月4,5万円程度なら無理なく返済できそうでしたので、破産手続きしか選べないという状況でもありませんでした。
しかも、田中さんは自宅と会社間の交通の便が悪く、5年前に購入した車が通勤に不可欠でした。この車のローンは少し前に完済していましたが、いま売りに出せば50万円程度にはなるため、破産手続きではこの車を売却しなければなりません。
そこで、弁護士は、借金を減額し、自動車も手元に残すために、個人再生を選択することが適切とアドバイスをしました。
田中さんもその説明を受けて、個人再生による解決を希望しました。
弁護士は、より詳しい事情の聞き取りや、必要資料の提供を受け、札幌地方裁判所へ個人再生の申し立てを行いました。
その際の返済計画案は、次のようなものです。
「450万円の負債を、100万円まで減額する。この100万円を3年間(36カ月)で返済するため、毎月2万8000円程度を返済する。この返済を3年間で予定通り終えたときは、残りの350万円をすべて免除する。」
裁判所は、弁護士の申し立て内容を審査し、この返済計画案が適切なものと判断し、債権者からも反対意見がなかったため、この返済計画案を認可しました。
これで、あとは3年間返済を続ければ計画通りの効力が生じることになります。
その後、田中さんは、弁護士が指示したとおり、毎月2万8000円ずつを返済し続け、一度も滞納することなく3年間が経過し、無事に借金がすべて免除となりました。
本来であれば、450万円に高い利息をつけた金額を長い期間払い続けなければならないのに、わずか3年間、100万円の支払いで借金が免除になったことで、田中さんは本当に安心したようです。
今後は、借金をしなくてすむよう生活費を見直すなどしながら老後の資金をためていきたいとのことでした。
【コメント】
田中さんは、いろいろな事情で借金を増やしてしまい、自分の収入で払える範囲を超える負債を抱えてしまいました。
このような場合に、本当は支払いが不可能な状態になっているのに、無理に返済を続けてしまうと、身の回りの財産を処分して返済にあてたり、親族に援助を繰り返し頼んだりして、正常な生活を失ってしまうことがあります。
田中さんは、そうなる前に、これ以上の返済は無理だと判断し、弁護士に債務整理を依頼したのです。
その判断が良い結果につながったといえ、田中さんは、3年間、無理のない範囲で返済を続けたことで借金を清算できたうえ、車も残すことができました。
もう少し相談が遅ければ、債権者から裁判を起こされて給料を差し押さえされたり、自動車を処分して返済にあてざるを得なかったことでしょう。
田中さんが行った個人再生では、債務総額500万円以内の方は、債務を100万円まで減額することができます。そして、それを3年から5年間かけて返済を実行することで、残りの負債をすべて免除してもらえるのです。
債務をすべて払うのは無理だけど、破産は避けたい、という方に最適の方法です。
田中さんは、予定通りに返済を実行し、無事に債務をすべて清算することができました。
個人再生手続きには複雑なルールやノウハウが必要となります。借金問題でお悩みの方は、当事務所までお早めにご相談ください。札幌市だけでなく、北海道内各地からのご相談に対応いたします。
※事件の特定を避けるため、複数の事案を組み合わせたり、細部を変更するなどしていますが、可能な限り実例をベースにしています。
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