【解決事例】 遺産分割調停を行い、公平・円満な解決ができました
【相談内容】
札幌在住の40代女性であるSさんは、3人兄弟の末っ子でした。何年も前にお母さんは亡くなっていましたが、ついにお父さんも病気で亡くなってしまいました。
お父さんが亡くなってしばらくし、生活も落ち着いてきたころ、お父さんの遺産の整理が問題になりました。
お父さんには、土地・建物のほか、まとまった金額の預金などの金融資産がありました。
ところが、兄弟3人で話し合いをしたところ、長男が「父の葬式は自分が執り行ったし、遺産もそれほど多くの金額はなかった。だから自分が全部もらうことにする」と一方的に言ってきたのです。
Sさんはお父さんの預金がどの銀行にあるかなどはわかっていましたが、お父さんの通帳などは長男が管理していましたので、実際の金額などは不明でした。
また、長男はお父さんの生前から、お父さんの通帳から自分の手元に少しずつ預金を移していた様子もありました。
Sさんも次男も、長男の対応に不満を持っており、お父さんの遺産をしっかり確認し、適正に分配してほしいと考え、赤渕弁護士に相談にいらっしゃいました。
【解決方法】
依頼を受けた後、まずはお父さんの遺産を明らかにするよう、弁護士から長男に書面で通告しました。
その後、弁護士と長男が電話で少し話をしましたが、長男は、もう預金はないなどと説明するだけで、話し合いは進みませんでした。
そのため、当事者同士の話し合いでは解決できないと判断し、札幌家庭裁判所に遺産分割調停の申し立てを行いました。遺産分割調停を起こされた長男も別の弁護士に依頼しました。
調停では、裁判所から相手に対して、お父さんの遺産の詳細を明らかにするよう強い要請がありました。
調停の中では、裁判所を通じ、銀行からお父さんの預金の明細を取り寄せることができます。長男側もそれがわかったため、裁判所の要請に反対せず、預金通帳などの資料をすべて提出しました。
預金通帳を検討すると、お父さんの預貯金は全部で約3000万円あったことがわかりました。ところが、お父さんが亡くなる前後に、500万円ものお金が引き出されていることが判明しました。その後の調停で、長男は500万円を勝手に引き出したことを認めました。
最終的に、4回目の調停の席で、預金をSさんと次男が1000万円ずつ、長男は残りの500万円を取得することが決まりました。また、不動産は売却して、代金を3等分することになり、遺産分割調停は無事終了しました。
Sさんは、調停を通じて、お父さんの遺産を正確に確認することができ、公平な分配も行われたため、大変満足されたようでした。
【コメント】
遺産分割でトラブルが生じるケースとして、相続人の1人が通帳や遺産を管理しており、遺産の金額を説明しようとしないという事例はよく見られます。
この場合、弁護士から相手に通告して資料を提出してもらうことになりますが、相手が応じない場合、弁護士が弁護士会や裁判所を通じて、銀行などから直接資料を取り寄せることができます。
当事者同士の話し合いでの解決が難しい場合は、調停を起こすことが解決への近道となります。
遺産分割は家族間の問題ですので、裁判で白黒つけるというよりも、調停の場でお互いが納得できる方法を探していく方が気持ち良く解決できることが多いと思います。また、家族だけで話し合いを進めるよりも、弁護士や裁判所などの第三者が間に入ることで、冷静に話し合うこともできます。
Sさんも、早い段階で弁護士に依頼したことが、良い結果に結びついたといえます。
遺産分割や相続問題でお悩みの方は当弁護士事務所にご相談ください。札幌市内を中心に、道内各地からのご相談を受け付けております。
※事件の特定を避けるため、複数の事案を組み合わせたり、細部を変更するなどしていますが、可能な限り実例をベースにしています。