【解決事例】 早期に仮差押えを行い、1200万円の売掛金を回収できた事例
【相談内容】
札幌市内で建築業を営むC社は、元請のY社から注文を受けて、建物の改築などの工事を行いました。
当初の取り決めでは、必要な資材はY社が手配することになっており、工事代金は工事完了時に受け取ることになっていました。
ところが、工事の途中で、Y社は、資材を買う資金は後で返すから、C社で立て替えてほしいと言い出しました。
C社は、工事が進まないのも困るため、やむを得ず自ら資材を購入し、工事を継続しました。
工事が完了し、Y社に資材の購入代金200万円と工事代金1000万円を請求しましたが、Y社は、月末まで待ってくれというのみで、支払いをしてくれません。
結局、2ケ月経っても支払いを受けられず、そのうち、Y社は連絡に応じない状態になりました。
C社は、工事代金も受け取れず、資材の購入代金も負担させられてしまいました。C社への打撃は大きく、このまま泣き寝入りするわけにもいきません。
そこで、どうにかならないかと思い、弁護士に相談に来ました。
【解決方法】
相談を受けた秋山弁護士は、相談に来たC社に、Y社の財産状況を詳しく聞きました。すると、あと10日ほど後に、Y社は大手の取引先から2000万円程度の入金があるということがわかりました。
しかし、Y社の社長は、その代金は給料や別の取引先などの支払いに充てるからC社に払う余裕はないと言っていたとのことでした。
このような状態では、10日後にY社が2000万円程度の入金を受けてしまうと、それを他の支払いに充てるなどし、C社が回収できなくなってしまう可能性が大きいでしょう。
そうすると、弁護士がY社に督促を行ったり、裁判を行ったりしても、結果が出るころにはY社にはお金がまったく残っておらず、1円の回収もできなくなるかもしれません。
そこで、秋山弁護士はその2000万円が支払われる前に、その代金を「仮差押え」することにしました。
「仮差押え」とは、正式な裁判を起こしている余裕がないほどの緊急性がある場合に、臨時の手段として、裁判所の許可を得て、相手の財産を「動かせない」状態にしておく手続きです。
今回の場合には、2000万円を支払う大手の取引先に対し、裁判所から、Y社への支払いを一時的に禁止する命令を出してもらうのです。
しかし、仮差押えがされる前に代金が支払われてしまえば効果がないため、遅くとも1週間以内には裁判所に仮差押えを認めてもらわなければなりません。
秋山弁護士は、C社とY社の取引内容や、資材の購入代金を証明する証拠を用意してもらいました。
また、Y社の取引先会社の名前や、その2000万円が何の代金であるかも聞き取るなどの準備を進めました。
C社は証拠も保管し、Y社の取引先のことなども詳しく知っていたため、準備は順調に進みました。
仮差押えの効果は絶大である反面、裁判所の許可をスムーズに得るためには、ポイントを押さえた申立書と的確な証拠が不可欠なのです。
秋山弁護士はそれらの証拠や情報をもとに、C社が相談に来た2日後には申立書を仕上げ、札幌地方裁判所へ提出しました。
その結果、裁判所から1,2点の確認があったのみで、それ以外に問題はなく、申立書を提出した翌日には仮差押えを認める決定を得ることができました。
なお、仮差押えは、緊急の手段であるため、一定額の保証金を担保として用意しなければなりません。C社の場合も、1200万円分の支払いのために仮差押えしましたので、250万円程度の保証金を用意を命じられ、すぐにそれを納めました(問題がなければ後で返ってくるお金です)。
これらを迅速に進めた結果、Y社への支払いがなされる前に仮差押え手続きが完了し、Y社への取引先からの入金を差し止めることに成功しました。
そして、すぐにY社に対して正式な裁判を起こそうとしたところ、仮差押えを受けたことに驚いたY社が秋山弁護士に連絡してきました。
Y社の社長は、すぐに1000万円を支払い、残りの200万円も1か月以内に支払うので、仮差押えを取り下げてほしいと頼んできました。どうやら、仮差押えを受けたことを取引先の会社から強く叱責されたようでした。
秋山弁護士は、C社と協議した結果、Y社の要望に応じることとしました。そして、仮差押えをした代金から1000万円分をC社が受け取るのと引き換えに仮差押えを取り下げ、無事にC社は1000万円を回収できました。
また、約束通り、1か月後には残りの200万円も支払われました。
非常にあわただしい10日間でしたが、C社は短期間で全額の代金を回収することができ、大変満足いただけたようでした。
【コメント】
債権回収については債権回収のページでも説明していますが、今回の事案のように、スピードが重視されることが多いです。
C社の場合も、手続きがあと1週間遅ければ、まったく代金を受け取れなかったかもしれません。
当事務所で扱った事例では、ご相談にいらっしゃるのが遅かったため、わずか半日の差で仮差押えが無効となったケースもあります。
当事務所では債権回収や仮差押え手続きは数多く手掛けており、緊急性のある事案では、最短時間での処理を行っています。それでも、裁判所の審査等の時間もありますので、どんなに急いでも手続きが完了するまで3,4日はかかってしまいます(しかも、土日は裁判所がストップしますので、手続きが進みません)。
相手が代金を支払ってくれないという債権回収のケースでは、少しでも早い段階で詳しい弁護士にご相談されることで、回収の可能性が上がると考えてよいでしょう。
債権回収や債権保全でお悩みの法人・個人の方、当弁護士事務所にご相談ください。札幌市内を中心に、北海道各地からのご相談・ご依頼を受け付けております。
※事件の特定を避けるため、複数の事案を組み合わせたり、細部を変更するなどしていますが、可能な限り実例をベースにしています。