武富士との裁判で、最高裁判所で逆転勝訴の決定を得ました
当事務所では、個人・企業の債務整理、倒産案件などを多く手がけていますが、今回、武富士の会社更生手続きに関して、最高裁判所で逆転勝訴の決定を得ましたので、ご報告いたします。
この事件は、もともとは武富士に対する過払金請求の裁判から始まりました。札幌地方裁判所小樽支部で過払金約900万円の支払いを命じる全面勝訴判決を得て、武富士から控訴された後も、札幌高等裁判所でも当方の請求を全て認める判決が出されました。
ところが、実際に過払金を回収するまえに、武富士が倒産(会社更生)をしてしまいました。
武富士が倒産してしまった以上、過払金を請求できる権利があっても、その3.3%(第1回配当)しか受け取れず、大部分の回収は不能となりました。
ところが、この案件では、武富士が一審判決に対して控訴した際に、当方が強制執行を行えないように裁判所の許可を得て、700万円の「担保」を法務局に供託していました。
その後、武富士が会社更生をしてしまったため、この700万円の担保金がどうなってしまうのかが問題となりました。
これについて、武富士の管財人は、この担保金は武富士のものであるとして札幌地方裁判所小樽支部に担保の取り戻しを求める裁判を起こしました。
裁判所は、武富士側の言い分を認め、会社更生によって当方の権利は失われたため、担保も武富士のものであると判断してしまいました。
そこで、当方から即時抗告(異議申立)を行いましたが、札幌高等裁判所も武富士側の言い分を認めてしまいました。
一審、二審とも当方が敗訴した形となりますが、ここで問題となったのは、「会社更生手続きをされてしまうと、供託された担保についても権利が失われてしまうのか」というものです。
通常の過払金の請求権は、会社更生により大部分が請求できなくなることは法律上当然とされていますが、今回のようにわざわざ当方のために担保が供託されている場合にも、それが無意味なものとされてしまうのかが問題となったのです。
実は、この点に対する判断がなされた裁判は、当事務所で調べた限りでは、これまで一例もありませんでした。破産手続きや民事再生手続きの場合の裁判例はいくつかありましたが、会社更生の場合にどうなるかというのは未知の問題であり、文献でもほとんど触れられていませんでした。
しかし、いろいろと検討した結果、やはり武富士側の言い分や裁判所の判断はおかしいと考えましたので、依頼者の了承を得たうえで、最高裁判所に許可抗告(異議申立)を行いました。
許可抗告の申し立てから約1年間判断を待っていましたが、4月26日に、最高裁判所は、一審、二審の判断を覆し、当方の言い分を全面的に認める決定を行いました。
裁判所のウェブサイトでも、早速その決定書が掲載されています(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20130430153142.pdf)。
内容は非常に難しいものですが、当方の主張を全面的に認める形で、最高裁としての初判断がなされています。
この件についてはまだ全て終了したわけではありませんが、裁判所のウェブサイトでも上記の決定が掲載されましたので、これを機にご報告致しました。