【解決事例】 不倫した夫に離婚調停を申し立て、慰謝料や養育費の支払いを受けた事例
【相談内容】
Yさんは、札幌市内に住む30代女性です。ご主人とは5年前に結婚し、3歳の男の子と3人で生活していました。
ご主人は大きい会社に勤め、年収は500万円程度あり、少し前までは家族で仲良く暮らしていました。
ところが、1年ほど前から、夫は家にいる時間が少なくなり、生活費もギリギリの金額しか渡してくれなくなりました。
そのことをYさんが問い詰めても、反対に大声で怒鳴られたりするほどで、夫婦の仲がどんどん悪くなっていきました。
ある日、Yさんがたまたま夫の携帯電話のメールを見てしまったところ、夫が同僚の女性と頻繁に会い、不倫関係にあることがわかってしまいました。
そのことを夫に確かめると、夫は勝手に携帯電話を見たことに激怒し、そのまま家を出て、相手の女性宅に移り住んでしまいました。
生活費もほとんどもらえなくなってしまい、Yさんは困り果て、弁護士を頼って相談に来ました。
Yさんはすでに離婚を決意しており、今後の生活や息子のために夫に経済的な負担をしてほしいという希望をお持ちでした。
【解決内容】
Yさんは生活費もほとんどもらえないとのことでしたので、まずは弁護士から相手に対し、Yさんの希望を伝えるとともに、生活費・養育費を毎月支払ってもらうよう請求をしました。
ところが、夫は弁護士に対して、離婚に応じてもいいが、お金を払うつもりはない、との回答をするのみでした。
そこで、弁護士が話し合いでは解決がつかないと判断し、すぐに札幌家庭裁判所に離婚調停の申し立てをしました。また、離婚成立までの間、収入のある夫は、収入のない妻に対して生活費(婚姻費用といいます)を支払う義務がありますので、その支払いを求める調停もあわせて起こしました。
夫は、お金の支払いには強く抵抗していましたが、緊急性の高い婚姻費用の調停が先に成立し、毎月10万円近い生活費を受け取ることができていました。これは、裁判所が相手を強く説得してくれたためです。
その後、生活費を受け取りながら、離婚調停を続けていましたが、夫は不倫の事実を認めており、調停が不成立となって裁判になった場合には、慰謝料や養育費の支払い義務があることは明らかとなっていました。
そのため、裁判所の説得もあり、最終的に5回目の調停で、夫は慰謝料や財産分与として合計400万円を支払うほか、養育費を息子が20歳になるまで毎月6万円ずつ支払うことで調停成立となりました。
Yさんは、すべてに納得したというわけではありませんでしたが、これで再スタートできると思い、調停成立に同意したのです。
その後、Yさんは長男と実家で平穏に暮らしており、養育費も順調に支払われているとのことです。
【コメント】
離婚トラブルの解決のおおまかな流れは離婚のページをご覧いただきたいと思いますが、離婚をめぐる紛争では、離婚自体が争われることのほか、慰謝料、財産分与や養育費などの金銭面の問題がこじれることが多くあります。
生活の不一致など、一概にどちらが悪いとはいえない場合には慰謝料は請求できないことも多いですが、一方が不倫した場合や暴力が繰り返された場合などは、相当額の慰謝料を支払う義務があります。
慰謝料の金額は、結婚期間や、その原因がどのようなものかによって変動します。
婚姻費用(生活費)や養育費は、お互いの収入によって基準がだいたい決まっていますが、それぞれの生活状況によって左右される部分も多く、簡単には解決しないこともあります。
慰謝料にしても、婚姻費用・養育費にしても、最終的に裁判所が審判・判決で支払いを命じた場合には、相手に強制執行を行うこともできます。特に、夫婦間の場合、相手の職場がわかることが多いため、給料の差し押さえがもっとも強力です。
そのため、相手としても調停・裁判を無視することもできず、裁判所の説得に応じて調停に応じる場合が多いといえます。
今回のケースでも、事前の話し合いでは夫はまったく支払いに応じる意思はありませんでしたが、調停の場では話し合いに応じ、最終的には相当額の金銭を支払うことに同意しました。
離婚トラブルが長引くと、経済的にも精神的にも大きな負担となりますので、必要と感じた際にはすぐに調停を起こすことがかえって早期解決につながるでしょう。
離婚時の養育費や財産分与などにお悩みの方や調停手続きを考えている方は、当弁護士事務所にご相談ください。札幌市内だけでなく、北海道内各地からのご相談・ご依頼を受け付けております。
※事件の特定を避けるため、複数の事案を組み合わせたり、細部を変更するなどしていますが、可能な限り実例をベースにしています。
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