【離婚】 財産分与を請求する方法・手続きは?
札幌の弁護士による離婚解説コラム第18回です。
前回(離婚時の財産分与について知りたい!)は財産分与とは何か、ついて簡単に見てきました。
今回は、その財産分与を請求する方法や、請求するための手続きを見ていきたいと思います。
前回説明したとおり、財産分与は、夫婦が結婚生活中に得た財産を離婚の際に分配する、というものです。
そのため、離婚時までに蓄えた財産の少ない側が、多い側へ請求するという形になります。一般的には、妻側から夫側へ請求することがほとんどですね。
では、どうやって財産分与を請求したらいいでしょうか。
基本的には、財産分与は、離婚の際の条件の1つとして、離婚協議の際に決定することになります。
離婚する際に、親権者や養育費の問題と一緒に、お互いの財産や住宅をどうするかを話し合い、話がまとまればそれにしたがって財産分与を行います。
協議ではなく、離婚調停を行う際にも、調停の中で財産分与について協議を行うことが通常です。
話し合いや調停で決める場合には、お互いが納得できる形であればどのような解決をしても構いません。
普通は、厳密にお互いの財産を半分に分ける、というやり方ではなく、ある程度ざっくりした形で、合計500万円を支払うとか、住宅は夫が取得し、預貯金は妻がもらうとか、分配しやすい方法で分ける例が多いといえます。
そのような話し合いや調停でまとまらない場合には、離婚訴訟や財産分与の審判の中で、裁判所が適切な財産分与方法について判断を下すことになります。
その判断には強制力がありますので、当事者はそれにしたがわなければならない、ということになります。
では、一度離婚してしまったあとは、財産分与の請求はもうできなくなってしまうのでしょうか。
結論からいえば、離婚が成立したあとでも、財産分与の請求をすることは問題ありません。ただし、期間が制限されており、離婚成立後、2年以内に解決するか、2年以内に調停を起こさなければなりません。
離婚後、3年たってしまった場合や、話し合いを続けて解決しないうちに2年を超えてしまったときは、もうその後の請求は認められません。
ただ、2年以内は請求できるとはいえ、一度離婚して時間が経ってしまうと、相手の生活状況や財産状況も大きく変化していってしまいます。そうすると、当初はあったはずの財産がなくなってしまったり、どこにあるかわからないという事態が生じやすくなりますので、時間が経過するにつれて財産分与の請求も難しくなります。
ですので、可能な限り、離婚時に決めておくか、離婚成立後の早い段階で解決することが必要です。
このように、財産分与は離婚時か、離婚後2年以内に請求を行う必要があります。また、基本的には協議で決定しますが、解決しない場合には調停や訴訟・審判で決定することになります。
もっとも、一度合意が済んでも、その後にいろいろな手続きが出てくることがあります。
たとえば、不動産について取り決めた後は、不動産の登記名義を変更しておかなければなりません。そうしないと、将来権利関係でトラブルが起きたり、固定資産税の責任を負う可能性があります。自動車についても同様です。
また、生命保険の受取人・解約金などについても変更が出ることが多いでしょう。
財産分与時の金銭の支払いを、分割払いなどで取り決めた場合には、その後にしっかりとお金が払われるのかを確認し、払われない場合には財産差し押さえなどの方法をとる必要も出てきます。
財産分与の場合には、合意が成立したあとの諸手続きも確実に行っておく必要がありますので、その手続きについても事前に取り決めておくべきでしょう。
以上が財産分与の請求の流れになります。
なお、財産分与は、離婚時に問題となる事柄の中でも、もっとも複雑といえます。相手の財産を把握することが難しいことや、財産の種類ごとに金額の評価や分配の方法が異なること、実際に合意したあとに約束通り分配されないケースも少なくないこと、分配に関する諸手続きが複雑な場合もあることなど、多くの関連する問題点があるからです。
そのため、ある程度まとまった金額の分与を請求する場合には、当人同士の話し合いではこじれてしまうことが多く、調停を行おうにも、手続きや流れがよくわからないまま進んでしまうことが少なくありません。
これまでのご相談者の中には、財産分与の調停を起こしたがよくわからないまま終わってしまい後悔している、という方もいらっしゃいました。
離婚には、これまでのコラムでも見てきたような多くの問題がありますが、特に財産分与は本人のみで解決するのは難しいといえます。
当弁護士事務所では、財産分与が生じる離婚事件も数多く経験しており、財産が多かったり、相手が事業者であるなどの複雑な事案にも対応することができます。もちろん、財産分与を請求されている方からのご依頼も対応しています。
財産分与問題でお悩みの方は、まずはご相談ください。お問い合わせは、こちらの法律相談の ご予約・お問い合わせのページからお願いいたします。
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