【解決事例】 妻からの高額な慰謝料の請求に対し、円満に解決した事例
【相談内容】
Aさんは札幌市内の企業に勤める30代の男性です。妻のBさんとは結婚して5年ほどたちますが、子どもはおらず、2人暮らしをしていました。
ふたりの生活は結婚後しばらくは円満でしたが、次第にささいなことで口げんかをすることが多くなり、関係は悪化していきました。
そうしたなかで、Aさんはあまり家にいづらくなり、遅くまで残業をしてから帰宅することが多くなりましたが、あるとき、妻から、浮気をしているという疑いをかけられました。
Aさんはもちろん否定しましたが、妻にはなかなか納得してもらえず、まともな会話もほとんどできなくなりました。
そこで、Aさんが離婚を決意し、妻に離婚を切り出したところ、妻は離婚には応じるけれども、浮気の慰謝料を払うよう求めてきました。
Aさんは、浮気したことは全くなかったため、妻の言い分を否定し、慰謝料も支払いも拒みました。
しかし、Bさんは納得せず、ついには札幌家庭裁判所に離婚調停を申し立ててきました。その調停では、浮気を理由とする高額な慰謝料の支払いも求められました。
Aさんは、このような場合でも自分が慰謝料を支払わなければならないのかと不安になり、弁護士に相談することにしました。
【解決内容】
事情を確認すると、Aさんには浮気の事実はなく、Bさんが浮気を主張するはっきりした根拠はないようでした。帰宅が遅くなったAさんへの不信感などから漠然と疑っていた程度のように思われました。
今回、離婚自体はAさんから切り出しましたが、一般的に、離婚時に慰謝料の支払い義務が生じる場合は限定されています(詳しくは「慰謝料が発生する離婚、発生しない離婚」をご覧ください)。
仮にAさんが浮気を本当にしていれば慰謝料支払いは当然必要になりますが、そうではなく、お互いの性格の不一致や感情の行き違いから離婚になった場合、どちらが一方的に悪いというわけではありませんので、慰謝料を支払う必要はありません。これは、離婚をどちらが切り出したとしても変わりません。
ですので、Aさんとしては、浮気の事実はまったくないことをBさんと裁判所にわかってもらうことが重要となります。
この件では、Bさん側に浮気を疑うはっきりした根拠はありませんでしたので、もともと慰謝料が認められる見込みは低いといえました。
ただ、帰りが遅くなったことが不信感の理由のひとつと思われましたので、会社での残業代の明細や退勤時間などの資料を提出して、実際に会社に遅くまでいたために帰宅が遅くなったことを説明したりしました。
その結果、裁判所にも理解を得て、Bさんを説得してくれたためか、次第にBさんも納得してくれたようでした。
その後、最終的には、慰謝料の支払いは行わず、Bさんの今後の生活にも配慮して財産分与を多少Bさんに有利にする形で、円満に離婚が成立しました。
AさんもBさんも、お互いが納得する内容で解決ができ、すっきりした様子でした。
【コメント】
夫婦がお互いに離婚することには同意していても、離婚の条件をめぐって対立が深刻化することは少なくありません。
お子さんがいる場合には親権や養育費が問題になりやすいですが、そうでなくても、慰謝料や財産分与も大きな問題になります。
特に、離婚の場合には慰謝料を請求できるというイメージが広まってしまい、慰謝料が認められないようなケースでも慰謝料にこだわる方も見られます。
一方が浮気したかどうかで争う離婚事件は、感情的な対立も大きく、証拠の有無や内容をめぐって解決が長引くことも多いといえます。
この事例では、浮気を疑うはっきりした根拠や証拠がなかったことや、Aさんが資料の提出も含めてはっきりした対応を行ったため、裁判所や相手の理解を得られたことがスムーズな解決につながったのだと思われます。
当事務所では離婚事件の取扱いも多く、男性からの依頼も多く扱っています。
相手に離婚や金銭を請求する場合はもちろん、反対にそれらを請求されてしまい、対応に悩んでいる方のご相談も多く取り扱っていますので、お悩みの方は早い段階でご相談ください。
特に調停を起こされた場合や、相手に弁護士がついている場合には、素早い対応が重要となります。
なお、当事務所では、札幌市内だけでなく、北海道内各地からのご相談・ご依頼を受け付けておりますので、お気軽にご相談ください。
※事件の特定を避けるため、複数の事案を組み合わせたり、細部を変更するなどしていますが、可能な限り実例をベースにしています。
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