【債務整理】 借金をまったく返せない…ほうっておいてもいい?
札幌の弁護士による債務整理解説コラム第1回です。
このブログでは離婚について連載し、離婚にまつわる法律問題を取り扱っている途中ですが、今回からは債務整理についても詳しく取り上げていきたいと思います。
債務整理の概要は債務整理・破産のページをご覧いただければと思いますが、ここでは、実際に債務整理を解決する際に問題となる点を、具体的に見ていきたいと思います。
さて、今回は、「借金をどうやっても返せないから、そのままほうっておいてもいい?」という問いを考えてみましょう。
そもそも債務というのは、支払い義務のことで、負債という言葉と同じ意味と考えてよいでしょう。
具体的には、銀行や消費者金融、サラ金からの借金を指すことが多いですが、クレジットカードの利用残高も債務に含まれます。さらに、自動車ローン、住宅ローンも債務にあたります。
相談に来られる方がよく見落としてしまうものとしては、お子さんの奨学金などの保証人としての責任があり、保証人の責任というのもご自身の債務になります。
保証人は少し特殊ですが、それ以外の借金、クレジットカード、ローンはどれも約束通りに支払う義務があります。
では、約束通りに支払わないとどうなってしまうのでしょうか。
約束の日に支払いをしなかった場合、すぐに銀行、サラ金、ローン会社など(これらを債権者といいます)から電話や手紙で支払いの督促が来ます。1回の遅れや数日の遅れであれば、債権者も納得し、特に問題が起きないことが多いと思います。
しかし、遅れが2度3度、あるいは数カ月にもなると、大きな問題が生じてきます。
まず、債権者からの督促が強力なものとなり、裁判・訴訟の予告、警告が届くようになります。
また、遅れが続くと、いわゆるブラックリストに登録されますし、債権者からさらに借り入れたり、カードを利用することが制限されてしまいます。
そのうえ、延滞が続くと、契約書にしたがって、高額の遅延損害金(延滞金)が発生し、遅延損害金も含めた全額の一括払いを求められてしまいます。
しかし、その時点で何カ月も滞納してしまっている方が、すぐに債務を全額支払ったり、遅延損害金を支払う余力があるとは思えません。
その時点で、債権者に事情を説明して支払いを待ってもらったり、親族に援助を受けたり、あるいは弁護士に相談に行くなど、なんらかの対応をしなければなりません。多くの方はなんとか解決に動きます。
ところが、もうどうにもならないと思いそのまま放置してしまう方もいます。また、いろいろ手を尽くしたものの、どうしようもなかったという方もいます。
そのような場合、債権者は、裁判所に支払いを求める裁判を起こしてきます。そして、借金をした方へ裁判所から呼び出し状が届き、裁判所で支払いの約束をさせられるか、裁判所から全額支払えとの命令を出されることになります。
その時点で支払いができればいいですが、それもできないままとなってしまうと、最終的には、裁判所の命令にもとづいて、財産の差し押さえをされてしまいます。
差し押さえは、預貯金や自動車などの財産を一方的に取り上げるほか、勤務先の給料を差し押さえることもできます。裁判所からの呼び出しを無視し、ほうっておいたところ、突然、勤務先に裁判所から給料差し押さえの書類が届いてしまい、勤務先から叱責を受けた、という方と何人もお会いしてきました。
どうやっても払えないからほうっておく、というのは最悪の方法です。
結局、給料は差し押さえられ、勤務先からは白い目で見られて、退職を求められることすらあるのです。
このような事態を避けるためには、どうすればよいのでしょうか。
それは、これ以上は正常な支払いが続けられない、と感じた時点で、すぐに弁護士に相談にするしかありません。
問題を先延ばしにしたり、身の回りのものを売却したりして目先の支払いを行っていっても、結局、すぐに行き詰ってしまうことは目に見えています。
この先、借金を全部返すあてがある、自信がある、というのであれば問題ありませんが、それが無理だと感じるのであれば、根本的な解決を行うしかないのです。
借金問題で苦しむ方は、弁護士に相談に来る直前が、もっとも不安で、もっとも苦しい時期です。
弁護士に相談さえすれば、必ず解決する方法を見つけることができるのです。
いまは多くの弁護士が、債務整理の相談は無料で行っています。ひとりで悩むよりも、30分ほど時間をとって相談を受ければ、それで心が一気に軽くなりますよ。
なお、いまは昔とは異なり、借金を滞納しても、債権者が自宅や勤務先に押し掛けたり、近所に聞こえるように大声で取り立てを行う、ということはまずありません。督促といっても、電話と手紙が来るだけです。
ですので、電話番号を変えたり、引っ越して住民票を移さないなどの方法で、請求をやり過ごしてきた、という方もいます。
この方法は当面の請求を避けるということでは確かに効果的といえる部分もあります。
しかし、いつまでも住民票を移さないまま、生活をしていくのは不便ではないでしょうか。また、いつまでも解決しないまま、債権者から隠れるように過ごすことは大変ではないでしょうか。
債権者は、滞納者の住民票を定期的にチェックしています。こっそり引っ越して3年後、住民票をこっそり今の住所に移したとしても、債権者はそれを確認しますので、また請求書が届くようになってしまいます。
また、何も債務の処理がされないままですので、相談者の中には、15年前の借金がまだブラックリストに登録されたままで、いまでもローンが組めない、という方もいました。
こういった不都合を考えると、やはり根本的な解決が必要です。
それでも、弁護士に相談できない方は少なくありません。
理由を聞きますと、借金したことをひとに話したくないとか、借金の理由がプライベートなものなので隠したいという方、あとは家族や会社に知られたくないから誰にもいえないなど、やはりそれなりの理由があるようです。
しかし、これまで多くの債務整理を扱ってきた弁護士から見れば、これらの理由はすべて勘違い、思い込みです。実際には、このような心配は必要ないのです。
当事務所では、これまで、毎年何十人もの借金に関するご相談を受けてきました。当事務所の弁護士にとって、借金の相談は、日常的な事柄です。しかも、相談の内容を他人にもらすということは絶対にありません。
また、たとえば相談に来た方が、「同居の夫にも内緒で破産したいんです」と希望されることもあります。毎年1,2人はこのように希望する方がいますが、ほとんどの方が、最後まで夫にも知られないまま破産を終えています(家族に知られた方もいましたが、これは、隠すのがつらくなり、ご自分から告白した方でした。最後まで隠そうとしたのにばれてしまった、という方はこれまでいませんでした)。
家族にさえ知られないのですから、勤務先や友人らに知られることはまずありません。
「破産したら戸籍にのってしまう」「選挙権がなくなってしまう」というのも、ただのデマです。そのようなことはありません。
いまだに、多額の借金に悩み、命を絶ってしまう方も少なくありません。
そこまでいかなくとも、借金返済のために何かを犠牲にしたり、犯罪に手を染めてしまう方もいます。
けれども、本当はそんな必要はありません。ただ弁護士に相談さえすれば、解決の方法が必ず見つかるのです。
もし借金に悩んでいるなら、すぐにご相談ください。解決への道をお示しします。
さて、今回は借金問題を放置してはいけない、ということをお話ししました。
次回は、それならどうやって解決したらいいのか、についてみたいと思います。
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