【刑事事件】 保釈の際に守らなければならない条件とは
前回は、保釈金を立て替えてくれる制度を取り上げました。
保釈については、今回で一応終わりの予定ですが、最後に、保釈の際に守る条件について触れておきます。
保釈が認められる場合には、必ず、保釈の際に守らなければならない条件を裁判所から指示されます。
その条件は、事件によって多少変わることがありますが、だいたい、次のようなものです。
- 保釈請求の際に届け出た住所に住むこと。引っ越す場合には事前に許可を得ること。
- 海外旅行や、3日以上の旅行に行く際には事前に裁判所の許可を得ること。
- 裁判所から呼び出された日時に、必ず出席すること。
- 証拠隠滅や逃亡行為と疑われるような行動を行わないこと。
- 共犯者がいる事件では、共犯者と一切連絡をとらないこと。
これを見て、いかがでしょうか。
簡単な条件だと思ったのではないでしょうか。
実際、保釈の際の条件は、普通に生活していれば違反することはまずありません。
ただ、共犯者がいる事件では、共犯者と連絡をとらないという点に注意が必要です。
共犯者が親しい友人などの場合、事件に関することとは無関係でも、連絡をとりあうことが禁止されますので、注意しないとうっかり違反するおそれがあります。
そして、保釈中はこれらの条件に違反しなければ、まったく自由に生活してよいということです。
仕事をしたり、遊びにいったりというのも自由ですし、1泊2日の旅行は許可なくでき、長い旅行も裁判所の許可を受けておけば問題ありません。
裁判の準備のために弁護士事務所に来てもらったり、裁判に必ず出席することさえ守れば、生活はもとどおり行うことができます。
ですので、保釈が認められると認められないとでは、まったく負担が違ってしまうのです。
では、保釈の条件を破った場合はどうなるのでしょうか。
これには、重大なペナルティがあります。
1つは、保釈の取り消しです。条件違反により、保釈はなかったことになり、再び身柄拘束されてしまいます。
それから、保釈金の没収です。保釈の際に裁判所に納めた保釈金が、没収されてしまい、もう戻ってこなくなります。
前回紹介した保釈金立替業者を利用していた場合には、申込をしてくれた家族が全額の返済義務を負わされることになります。
そして、違反の直接のペナルティではありませんが、裁判所との約束を破ってしまった以上、裁判で言い渡される刑が重くなる危険があります。
このように、保釈の条件に違反したときには、重い制裁がありますので、絶対に条件を守るように心掛けなければなりません。
実際は、保釈の条件に違反して保釈金が取り消される人はごく一部にすぎませんから、大半の方は守っていますが、一部であっても違反する人もいますので、注意は必要です。
これまで、刑事事件の流れや保釈について詳しく取り上げてきました。
次回からは、刑事事件における弁護士の役割について説明したいと思います。
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