【離婚】 面会交流の具体的な方法は?
札幌の弁護士による離婚解説コラム第14回です。
前回(親権のない親が子どもに会う権利はある? ~面会交流とは~)は、養育していない親が子どもと会うという面会交流の概要を説明しました。
今回は、実際に面会交流はどういった方法で行うのか、について見て行きたいと思います。
養育していない親が面会交流を認められた場合、どういった場所でどういう方法で面会交流を行うか、といった点が問題となります。
この「面会交流」という言葉には、実は2つの意味が込められています。
1つは「面会」、つまり親と子どもが会うことです。もう1つは「交流」、つまり面会以外の方法で親子がふれ合うことです。
面会交流は、実際に会うことだけを含んでいる言葉ではありません。
では、実際に、どういった内容の面会交流が認められるのでしょうか。
ある事件で裁判所が実際に認めた面会交流の方法を見てみましょう。
この事件は、父親が子どもの親権を得て、子どもを養育していましたが、それに対して、母親が面会交流を求めたというものでした。
父親は、母親との面会交流を禁止すべきと主張しましたが、裁判所は、次のような内容の面会交流を認めました。
「1 面会回数、日時
(1)回数 毎月1回
(2)日時 第4日曜日の午前11時から同日午後4時の間(時間厳守)
2 子どもの引渡方法
父親は、上記面接開始時に、○○市△△所在の「口口」駐車場において、母親に子どもを引き渡し、母親は、上記面会終了時に、同所において、子どもを父親に引き渡す。
3 子どもに対するプレゼント
父親は、母親が、子どもと面会交流するに際し、誕生日クリスマス、正月のプレゼントを渡すことを認めなければならない。
この場合におけるプレゼントの価格は、子どもの年齢等に照らし、社会通念上相当な限度に留めるものとする。
4 面会日等の変更
当事者は、その協議により、面会実施の日時、子どもの引渡場所、面会の方法など必要な事項を変更することができる。
5 学校行事等への参加
母親は、未成年者らに関する保育園や学校の行事に参加してはならない。
父親は、未成年者らが上記行事に参加した場合において、その状況を撮影したビデオ、写真等があるときは、適宜、母親に提供するものとする。」
面会交流の具体的なやり方は、個々の事案ごとに違いますので、この件は1つの参考と考えて下さい。
この裁判では上の1~5の内容が定められています。
「1 面会回数、日時」では、月に1回、第4日曜日の午前11時から午後4時までの面会を母親に認めています。
そして、「2 子どもの引渡方法」で、実際に面会を行う際の待ち合わせ場所などを具体的に決めています。
「4 面会日等の変更」では、お互いの都合があわないときなどに、話し合いで面会交流の方法を変更できるとされています。
母親と子どもの面会は、この範囲で認められるということです。
それ以外に、「3 子どもに対するプレゼント」では、母親が誕生日プレゼントやクリスマスプレゼントを子どもに渡してよいとされています。
これは、母親がプレゼントしたいと希望する場合に、父親が邪魔してはならないという意味です。
また、この規定を反対に読むと、これ以外のプレゼントや手紙のやり取りについては、父親が拒否してもよいということになります。
そして、「5 学校行事等への参加」では、入学式、卒業式、運動会などの学校行事へ母親が参加することは禁止していますが、父親が撮った写真やビデオを母親に見せてあげなければならないと定められています。
裁判以外での離婚の場合に、面会交流の方法をここまで厳密に決めることはまずないでしょうが、調停や審判で決定する際には、このような内容を具体的に定めることになります。
この事例では認められていませんが、たとえば、毎月夏休みと冬休みには、母親のもとで1泊2日での外泊を認める、という宿泊付き面会が認められることもあります。
どこまで認められるかはケースバイケースですので、先ほどの事例よりも広く認められることもあれば、狭く制限されることもあります。
このように、面会交流というのは、実際に会う面会だけでなく、電話や手紙でのやり取り、写真や映像を見せてもらうこと、プレゼントを贈ることなど、親と子どもの交流全般に関するものです。
直接会うことは認められない場合でも、手紙やプレゼントは認めるとか、いろいろなバリエーションはありますが、子どもにとってもっとも良い方法を決めていくことになります。
次回は、このような面会交流の方法をどうやって決めるのかを見て行きたいと思います。
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