離婚による慰謝料の金額 決め方・相場は?
札幌の弁護士による離婚解説コラム第4回です。
前回(慰謝料が発生する離婚、発生しない離婚)にひきつづき、離婚の際の慰謝料問題です。
不貞行為や暴力があって離婚する場合、落ち度がある側は、慰謝料を支払う義務があります。
では、慰謝料はどうやって計算するのでしょうか。
慰謝料は、夫婦ごとや離婚の理由ごとに大きく異なりますが、次のようなポイントで増減されます。
① 支払い側の落ち度、責任の重さ
② 結婚してからの期間、子どもの有無
③ 支払い側の経済力
このうち、①はわかりやすいと思います。不貞行為であれば、その頻度や期間などによって悪質性、責任の重さが変わりますし、暴力の場合は、その頻度、暴力の程度や怪我の大きさによってやはり落ち度、責任が変わってきます。
落ち度、責任が重いほど、慰謝料額も高くなる傾向にあります。
②も、結婚してからの期間が長かったり、未成年の子どもを何人も抱えている方が、離婚による打撃・精神的ショックは大きいといえ、慰謝料額が高額になります。
最後の③は、財産分与との兼ね合いもありますが、相手の経済力が高い方が、離婚の原因を作った制裁としての意味などから、慰謝料が高くなる傾向があるといわれています。
ただ、実際の裁判では、①がこうだからいくら加算、②がこうだからいくら減額、などという内訳は明らかにされず、合計で○○円、という結論の金額しか明確にはなりません。
弁護士が慰謝料の請求を検討する際には、このあたりの事情を詳しくお聞きすることになります。
では、慰謝料は実際にはどれくらいになるでしょうか。
調停などの話し合いの場合には、最終的にはお互いの合意で決めますので、大きなばらつきがありますが、裁判となり、判決となった場合には、おおよその相場があります。
慰謝料が問題となるのは不貞行為のケースが多いですが、経験上、不貞行為が原因で離婚に至った場合、大半の事例で150万円から300万円の間におさまっています。その範囲で、さきほどの①②③の事情などによって上下しているのです。
暴力事案は、離婚の慰謝料自体は、不貞行為と同様かやや低いくらいの金額です。怪我が重大で後遺症が生じるような場合は500万円を超える場合もありますが、それは離婚の慰謝料というよりも、怪我の重さに対する慰謝料が高額となるからです。
実際に相手に請求する際には、さきほどの①②③などの事情を検討して金額を見積もることになります。
慰謝料を請求する場合、高ければ高い方が良いと考える方もいるでしょうが、余り相場から離れた金額を請求すると、相手も支払いや話し合いに応じる気持ちもなくなるでしょうし、裁判所からも不審に思われるでしょう。
相手を納得させたり、裁判所にこちらの言い分を理解してもらうには、慰謝料も適切かつ説得的な金額を計算し、根拠を示す必要があるのです。
当事者が自分で判断するのは非常に難しいため、弁護士に相談し、アドバイスをもらうことが重要です。
前回・今回と慰謝料についてみてきましたが、ひとくちに慰謝料といっても、簡単に決まるわけではないのです。
また、慰謝料が争点になるような事件では、お互いの感情の対立が激しいことが多く、その意味でも解決が容易ではありません。
どういった場合に慰謝料が請求でき、金額はどのように算定されるかを知らなければ、スムーズな解決はできないでしょう。
さて次回は、少しテーマを変えて、離婚調停・裁判は、どこでどのように行うのか、を説明したいと思います。
札幌の自宅に同居していたけど、相手が不倫相手と帯広に移り住んでしまったといった場合、どこの裁判所で行ったらよいのでしょうか。
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